蓄電池

蓄電池の相場は1kWhあたりいくら?東京都の助成で自己負担はどこまで下がるか

蓄電池の相場は1kWhいくら?補助事業の平均12.1万円、一般的な水準17〜22万円、東京都の助成は1kWhあたり10万円

蓄電池の見積もりを取ったものの、その金額が高いのか安いのか分からないという声をよく聞きます。メーカーや容量によって総額が大きく違うため、総額どうしを並べても判断がつきません。

この記事では、資源エネルギー庁の検討会がまとめた価格データをもとに、家庭用蓄電池の相場を1kWhあたりの単価で整理しました。補助事業で導入された蓄電池の平均は、工事費込みで1kWhあたり12.1万円です。そのうえで、東京都の助成を使うと自己負担がどこまで下がるかを試算します。

東京蓄電池補助金ガイド 編集部 経済産業省・環境省・東京都環境局・クール・ネット東京および各区市町村が公表する一次情報をもとに、住宅用の太陽光発電と蓄電池の補助制度を調査・執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

蓄電池の相場は1kWhあたり12〜22万円

家庭用蓄電池の価格は、蓄電容量1kWhあたりの単価で比べるのが基本です。国の資料も、この単価で価格水準を示しています。

家庭用蓄電システムの1kWhあたりの価格。補助事業の平均は2022年度13.9万円、2023年度12.1万円。国の目標価格は12.5万円。補助事業以外は17万から22万円程度

補助事業の平均は12.1万円

資源エネルギー庁の「定置用蓄電システム普及拡大検討会」は、2025年3月に結果をとりまとめました。国の補助事業のデータから、2023年度の家庭用蓄電システムの価格水準を推計しています。

それによると設備費は1kWhあたり11.1万円、工事費は1.0万円でした。合計すると12.1万円になります。2022年度は設備費11.7万円と工事費2.2万円で13.9万円だったため、1年で下がったことが分かります。

補助事業の外では17〜22万円程度

同じ資料には、事業者へのヒアリングの結果も載っています。補助事業以外で導入する場合、設備費は1kWhあたり15〜20万円、工事費は2万円程度が標準的な水準とされました。合計すると17〜22万円で、補助事業の平均の1.4〜1.8倍にあたります。

補助事業の数字が低めに出るのには理由があります。補助金を使う事業者は補助の上限に合わせて申請するため、推計値の近くに価格が集まると事業者自身が説明していました。

国の目標価格は12.5万円

もう一つの目安が、国のDR補助金が定めていた目標価格です。令和7年度補正の公募では、設備費と工事費の税抜合計で1kWhあたり12.5万円とされていました。

この目標価格を上回る蓄電池は、補助の申請そのものができない決まりでした。DR補助金は2026年5月29日に予算に達して公募を終えましたが、国が想定する価格の水準を知る手がかりとしては今も参考になるでしょう。

価格の内訳と、高くなる要因

1kWhあたりの価格が何でできているかを知っておくと、見積もりの読み方が変わります。検討会の資料は、補助事業の平均価格の内訳も示していました。

補助事業における家庭用蓄電システムの2023年度の平均価格の内訳。電池部分5.6万円、PCS1.5万円、その他4.0万円、工事費1.0万円で、合計1kWhあたり12.1万円

半分近くが電池部分

2023年度の設備費11.1万円のうち、電池部分が5.6万円、電力を変換するPCSが1.5万円、付帯設備などのその他が4.0万円でした。電池部分が全体の半分近くを占めています。

電池の調達先によっても価格は変わります。資料には、海外のメーカーに設計と製造を任せた製品では、電池部分が国内製より1kWhあたり数万円安くなる場合もあると書かれていました。

工事費は上がる方向にある

工事費は補助事業の平均で1.0万円まで下がっていました。ただし事業者からは、足元では人件費が上がっており、補助事業以外では2万円程度が標準的だという声が出ています。

工事費は設置場所の条件で大きく変わるため、見積もりでは設備と工事を分けて書いてもらうのが確実です。総額だけでは、どこが相場より高いのか判断できません。

容量は大きくなる傾向にある

資料によると、家庭用蓄電池は太陽光の電気を自宅で使い切る目的での設置が多いとされています。最近は災害への備えとして導入する家庭も増え、容量が大きくなる傾向にあるそうです。

容量が大きいほど総額は上がりますが、1kWhあたりの単価は下がることがあります。総額だけを比べず、必ず単価に直して比べましょう。

見積もりが相場の範囲かを確かめる

蓄電池の価格は容量と工事の条件で変わります。1kWhあたりの単価に直して比べるには、複数社の見積もりをそろえるのが近道です。

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東京都の助成で自己負担はいくらになるか

東京都に住んでいる場合、蓄電池の費用を大きく下げられるのが都の助成です。相場の価格で、自己負担がどこまで下がるかを試算しました。

10kWhの蓄電池を設置したときの自己負担の目安。東京都の助成は100万円で、総額121万円なら自己負担21万円、170万円なら70万円、220万円なら120万円

都の助成は1kWhあたり10万円

東京都の「家庭における蓄電池導入促進事業」は、蓄電容量1kWhあたり10万円を助成します。助成額は、容量から計算した額と税抜の対象経費のうち、小さいほうです。DR実証に参加しない場合の上限は1戸あたり120万円とされています。

DR実証に参加すると、さらに加算があります。エネルギーマネジメント機器などを設置する場合は1台あたり15万円、設置しない場合は10万円の加算です。ただしDR実証の契約は、交付申請の前に結んでおく必要があります。この記事の試算では、加算のない場合で計算しました。

10kWhなら都の助成は100万円

10kWhの蓄電池なら、都の助成は100万円です。補助事業の平均並みの12.1万円/kWhなら総額121万円で、自己負担は21万円まで下がります。

一方、補助事業以外の水準である17〜22万円/kWhなら総額は170〜220万円です。都の助成100万円を引いても、自己負担は70〜120万円になります。同じ容量でも、見積もりの単価によって自己負担が5倍以上違ってくるわけです。

なお試算は、見積もりの金額を税抜と仮定し、区の補助や国の補助を使わない場合で計算しました。実際の助成額は対象経費の審査で決まります。

区の補助を足すとどうなるか

区によっては、都とは別に蓄電池の補助金を出しています。ただし都の助成と組み合わせると、計算は単純な足し算になりません。

区の補助10万円を受けた場合の東京都の計算例。総額170万円なら都の対象経費は160万円で都の助成100万円、合計110万円。総額105万円なら対象経費95万円で都の助成95万円となり、区の10万円のうち実際に効くのは5万円分

都は区の補助を差し引いて計算する

都の助成の対象経費は、機器費と工事費の合計から、国および他の地方公共団体の補助金を差し引いた額です。区から10万円を受けると、都の対象経費はその分だけ小さくなります。

見積もりが相場の水準なら、ほとんど影響はありません。総額170万円なら対象経費は160万円で、都の助成は上限の100万円のままです。区の10万円がそのまま上乗せになります。

安い見積もりほど上乗せが目減りする

影響が出るのは、総額が都の助成額に近い場合です。総額105万円なら対象経費は95万円になり、都の助成も95万円に下がります。区から10万円を受けても、実際に増えるのは5万円分にとどまる計算です。

区の補助の有無や金額は、区ごとに大きく違います。受付を終えた区もあるため、最新の状況を確かめてから計画を立ててください。

都と区を合わせた自己負担を試算する

自己負担は見積もりの単価と、お住まいの区の補助で変わります。実際の金額は、見積もりを取って対象経費が分かってから確定します。

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相場より安い見積もりで気をつけること

相場より明らかに安い見積もりは魅力的に見えます。ただ東京都の助成を使うなら、価格のほかにも確かめておきたい条件があります。

契約の前に都の事前申込が要る

東京都の助成は、機器の売買契約を結ぶ前に事前申込をすることが条件です。「今日契約すれば安くなる」と急がされて契約すると、都の助成を受けられなくなるおそれがあります。値引きの期限を理由に契約を急がせる業者には注意してください。

設置後もメーカー保証が続くこと

都の交付要綱は、設置した蓄電池が設置後もメーカーの保証を受けられる状態であることを助成の条件にしています。保証の対象外になる中古品や、保証が切れる設置方法では助成を受けられません。見積もりの段階で、メーカー保証の期間と条件を確かめておきましょう。

手続きを任せる業者が対象外になっていないか

都の助成では、不正な手続きをした手続代行者に対して措置がとられています。都の措置に合わせて、区の助成でも同じ事業者を対象外とした例があります。申請を業者に任せる予定なら、その業者が措置の対象になっていないかを公社や区のページで確認しておくと安心です。

見積もりを相場と比べる5つの確認点

相場を知っても、見積書の書き方がばらばらだと比べられません。受け取った見積もりは、次の5点で確認してみてください。

見積もりを相場と比べる5つの確認点。kWh単価に直す、設備と工事を分ける、機種の登録を確かめる、キャッシュバックの扱いを見る、複数社で比べる

単価に直して税抜で比べる

まず総額を蓄電容量で割り、1kWhあたりの単価に直します。都の助成も国の目標価格も税抜で計算されるため、比べるときは税抜の金額を使いましょう。

たとえば税抜の総額が165万円で、蓄電容量が12kWhの見積もりなら、1kWhあたりは約13.8万円です。補助事業の平均の12.1万円よりは高いものの、補助事業以外で一般的とされる17〜22万円よりは低い水準だと分かります。

容量はカタログの「定格容量」と「実効容量」で数字が違うことがあります。どちらの数字で割ったのかをそろえないと、単価を正しく比べられません。複数の見積もりを並べるときは、同じ種類の容量で計算してください。

機種が都の要件を満たすかを確かめる

相場の範囲に収まっていても、都の助成を受けられない機種では意味がありません。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、SIIの令和8年度の登録済製品だけが都の助成の対象です。見積もりに書かれた型番が登録されているかを確かめてください。

キャッシュバックは対象経費から除かれる

契約時のキャッシュバックや商品券などの還元は、都の対象経費から差し引くよう定められています。キャッシュバックで見かけの価格が下がっても、都の助成の計算ではその分が除かれます。還元の予定額は契約書の内訳にも記載が必要です。

その場で契約せず複数社で比べる

蓄電池は訪問販売での勧誘トラブルが多い商品でもあります。国民生活センターは2021年6月に注意を呼びかけ、相談件数が2016年度の325件から2020年度の1,314件へ増えたと公表しました。

区も同じ注意を出しています。たとえば目黒区は、契約に際して悪質な事業者に注意し、複数の事業者から見積もりを取るよう勧めています。突然の訪問を受けても、その場で契約せずに比べることが大切です。

複数社の見積もりで相場と比べる

同じ容量でも、見積もりの単価で自己負担は大きく変わります。訪問販売ではなく、自分のタイミングで比べられる方法を選ぶと判断しやすくなります。

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よくある質問

蓄電池は1kWhあたりいくらなら安いといえますか

国の補助事業の平均は工事費込みで12.1万円、国の目標価格は12.5万円です。これに近ければ相場の範囲で、17〜22万円は補助事業以外で一般的とされる水準になります。

東京都の助成を使うと自己負担はいくらになりますか

容量と見積もりの単価で変わります。10kWhで総額121万円なら、都の助成100万円を引いて自己負担は21万円です。総額170万円なら自己負担は70万円になります。

区の補助金を使うと都の助成は減りますか

減る場合があります。都は区の補助額を対象経費から差し引くため、見積もりの総額が都の助成額に近いと、都の助成がその分だけ小さくなります。

見積もりは何社から取ればよいですか

決まりはありませんが、区や国民生活センターは複数社からの見積もりを勧めています。単価・工事費・機種の登録の有無を、同じ条件で比べられる程度の数をそろえると判断しやすいでしょう。

工事費はいくらが目安ですか

補助事業の平均は1kWhあたり1.0万円、補助事業以外では2万円程度が標準的な水準とされています。設置場所の条件で変わるため、設備費と分けて見積もってもらうと比べやすくなります。

まとめ

家庭用蓄電池の相場は、1kWhあたりの単価で比べるのが基本です。国の補助事業の平均は工事費込みで12.1万円、補助事業以外では17〜22万円程度が一般的な水準とされています。

東京都の助成は1kWhあたり10万円なので、10kWhなら100万円です。見積もりの単価が相場の下のほうなら自己負担は20万円台まで下がりますが、上のほうなら100万円を超えることもあります。区の補助を足すときは、都が対象経費から差し引いて計算する点に注意が必要です。

見積もりを受け取ったら、単価に直して税抜で比べ、機種の登録とキャッシュバックの扱いも確かめてください。その場で契約せず、複数社を比べてから決めるのが確実です。