補助金の基礎知識

蓄電池の容量の目安は何kWh?東京の戸建ての電気の使用量と都の助成の上限から考える

蓄電池の容量は何kWhがいいか。東京都の助成は12kWhで上限。家族の人数と夜の電気、太陽光の余る電気、停電時に使いたい家電で考える

蓄電池を選ぶとき、最初に迷うのが容量です。5kWhほどの小さな機種から15kWhを超える大きな機種まであり、見積もりを取ると業者ごとに勧める容量が違うこともあります。

この記事では、環境省の統計と資源エネルギー庁の資料、東京都の助成の原文をもとに、東京の戸建てで容量を決めるときの考え方を整理しました。関東甲信の戸建てが電力会社から買っている電気は1日平均で約13kWhで、東京都の助成はDR実証に参加しない場合、12kWhで上限の120万円に達します。この2つの数字を軸に、家ごとの目安を考えていきます。

東京蓄電池補助金ガイド 編集部 経済産業省・環境省・東京都環境局・クール・ネット東京および各区市町村が公表する一次情報をもとに、住宅用の太陽光発電と蓄電池の補助制度を調査・執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

容量の目安は「夜に使う電気」と「停電の備え」で決まる

太陽光と組み合わせる蓄電池の役割は、昼に余った電気をためて、発電しない夕方から朝までに使うことです。ためた電気を使い切れないほど大きな容量にしても、その分の費用は回収しにくくなるでしょう。

資源エネルギー庁の検討会のとりまとめでは、事業者への聞き取りで、太陽光の自家消費を増やして電気代を減らす目的で設置する家庭が多いとしています。最近は災害への備えとしての設置も増え、家全体の回路をまかなえる中・大容量の機種のニーズが大きいとも書かれていました。電気代を下げたいのか、停電に備えたいのかで、選ぶ容量は変わります。

東京の戸建てはどれくらい電気を使っているか

環境省の「家庭部門のCO2排出実態統計調査」は、地域ごとの世帯の電気の使用量を公表しています。東京都だけの値はないため、東京を含む関東甲信の値を使います。令和5年度の確報値では、関東甲信の世帯あたりの年間の電気の使用量は3,600kWhで、全国は3,911kWhでした。

関東甲信の戸建ての1日の電気の量。1人は約8.4kWh、2人は約11.1kWh、3人は約14.2kWh、4人以上は約17.3kWh。電力会社から買った電気の年間の量を365日で割った値で、太陽光の自家消費は含まない

戸建ては1日平均で約13kWh

同じ調査の戸建てだけの値をkWhに直して365日で割ると、関東甲信の戸建ては1日あたり約12.7kWhです。世帯の人数が増えるほど使用量は増え、4人以上の戸建てでは1日約17.3kWhになります。

ただし、この統計の電気は太陽光の自家消費を含まない、電力会社から買った量です。太陽光がある家は、検針票の使用量に自家消費の分が上乗せされると考えてください。

冬は初夏の約2倍の電気を使う

月別の表を見ると、使用量は季節によって大きく変わります。関東甲信の戸建てでは、最も少ない6月が1日約9.4kWh、最も多い2月が1日約17.8kWhでした。

冬は夏の初めの約2倍の電気を使う。関東甲信の戸建ての1日あたりの電気は、6月が約9.4kWh、2月が約17.8kWh。4人以上の戸建ては6月が約12.7kWh、2月が約24.6kWh

冬は太陽光の発電が少ない時期でもあるため、冬の夜の使用量に合わせて容量を決めると、昼にためる電気が足りなくなる日が出てきます。自宅の検針票で、季節ごとの使用量を確かめておきましょう。

太陽光の発電量から容量を考える

ためられる電気の量は、太陽光の発電量で決まります。資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会は、住宅用太陽光の設備利用率を13.7%と想定していて、2025年に集めた案件の平均は14.1%でした。13.7%で計算すると、パネル1kWあたりの年間の発電量は約1,200kWh、1日あたり約3.3kWhです。

発電の6〜7割は売電に回っている

同じ委員会の資料では、住宅用太陽光の余剰売電比率(発電量のうち売った割合)を70%と想定していて、実績の平均は64.8%でした。発電した電気の6割以上は、家で使われずに電力会社へ売られています。

たとえば4kWの太陽光なら、年平均で1日約13kWhの発電になり、その6〜7割の約8〜9kWhが余る計算です。余る電気の量より大きな容量を選んでも、晴れた日以外は満タンになりにくい点を覚えておきましょう。天候で発電量は大きく変わり、クール・ネット東京は曇りの日は晴れの日の3分の1から10分の1程度としています。

蓄電池を使っている戸建てはまだ少ない

環境省の同じ調査では、太陽光発電を使っている世帯は戸建てで11.7%でした。家庭用の蓄電システムを使っている世帯は全国の戸建てで3.7%、関東甲信の全世帯では1.8%にとどまります。周りに比べる家が少ないため、容量は自宅の数字で決めるしかありません。

自宅に合う容量を相談する

容量の目安は、家族の人数や季節ごとの電気の使い方、太陽光の大きさで変わります。検針票をもとに、自宅に合う容量を提案してもらいましょう。

  • 申込は東京都内の住宅が対象
  • 訪問営業はせず、申込後に電話で日程を決めて現地調査
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対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

停電への備えから容量を考える

停電に備える場合は、停電中に何をどれだけ使いたいかで容量が決まります。冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電だけで足りるのか、エアコンまで動かしたいのかで、必要な電気の量はまったく違います。

太陽光だけでは停電時に使える電気が限られる

クール・ネット東京によると、太陽光の自立運転で停電時に使える電気は最大1.5kWまでで、専用のコンセントからしか使えません。夜は発電しないため、夜も電気を使いたいなら蓄電池が必要になります。

冷蔵庫だけなら1日0.5kWh程度

政府広報オンラインが資源エネルギー庁の資料をもとに示している例では、400L程度の冷蔵庫の消費電力を年200kWh程度と想定しています。1日あたりにすると約0.55kWhで、冷蔵庫と照明を動かすだけなら大きな容量は要りません。停電時に家全体の電気を使いたいのか、一部の部屋だけでよいのかを先に決めておくと、容量の話がしやすくなります。

容量と価格の関係

蓄電池は容量が大きいほど本体の価格が上がりますが、1kWhあたりの価格は下がる傾向があります。資源エネルギー庁のとりまとめは、2023年度の国の補助事業のデータをもとに、容量の区分ごとの価格を示しています。

容量が大きいほど1kWhあたりは安くなる。2023年度の国の補助事業のデータで、機器の価格は5kWh未満が1kWhあたり15.0万円、5〜10kWhが10.6万円、10kWh以上が10.7万円。工事費は1kWhあたり1.6万円、1.3万円、0.6万円

5kWhを境に1kWhあたりの価格が下がる

とりまとめは、1kWhあたりのシステム価格は5kWhを境に大きく下がるとしています。5〜10kWhと10kWh以上では、機器の1kWhあたりの価格にほとんど差がありません。工事費の1kWhあたりの額は、容量が大きいほど小さくなる傾向です。

補助事業では5〜10kWhが半数を超える

資源エネルギー庁の2023年2月の調査報告書には、令和4年度の国の補助事業で導入された家庭用蓄電池の容量ごとの件数が載っています。市場全体ではなく補助事業の案件ですが、容量選びの参考になります。

容量 件数(令和4年度の国の補助事業)
5kWh未満 19件
5kWh以上10kWh未満 1,314件
10kWh以上 955件
合計 2,288件

東京都の助成は12kWhで上限に達する

東京都の「家庭における蓄電池導入促進事業」の助成額は、蓄電容量1kWhあたり10万円です。DR実証に参加しない場合は1戸あたり120万円が上限なので、10万円で割ると12kWhで上限に達します。

東京都の助成は12kWhで上限の120万円。DR実証に参加しない場合、6kWhは60万円、9kWhは90万円、12kWhと15kWhは120万円。税抜の対象経費が小さければそちらが上限で、容量はSIIに登録された蓄電容量で数える

助成額は3つのうち小さい額

助成額は、蓄電容量に10万円を掛けた額、税抜の対象経費から国や区の補助金を引いた額、上限の120万円のうち、最も小さい額になります。千円未満は切り捨てです。12kWhを超える容量を選んでも、DR実証に参加しなければ都の助成は120万円で変わりません。

DR実証に参加する場合は120万円の上限がなくなり、参加の加算が付きます。助成額は令和7年度の1kWhあたり12万円から、令和8年度は10万円に下がりました。

容量はSIIに登録された蓄電容量で数える

公社のよくある質問では、助成の計算に使う蓄電容量はカタログの数値ではなく、SIIに登録されている「蓄電容量」を指すと答えています。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、SIIの令和8年度の登録済製品一覧に載った機器だけが対象です。見積もりの段階で、機種の型番とSIIに登録された蓄電容量を業者に確かめてもらいましょう。

カタログの容量は2種類ある

蓄電池のカタログには、容量の数字が2つ載っていることがあります。電池そのものの容量を示す「蓄電容量」と、実際に家で取り出せる電気の量を示す「初期実効容量」です。

カタログの容量は2種類ある。蓄電容量は単電池の定格容量と公称電圧と個数を掛けた電池そのものの容量で、都の助成の計算に使う。初期実効容量は工場出荷時に交流側へ供給できる容量で、家で実際に取り出せる電気の量の目安

家で使えるのは初期実効容量

島根県の補助金の仕様書は、蓄電容量を単電池の定格容量と公称電圧、使う単電池の数を掛けた容量とし、初期実効容量を工場出荷時に交流側へ供給できる容量と定義しています。夜にどれだけ使えるかを考えるときは、初期実効容量のほうを見てください。

東京都の助成の計算には蓄電容量を使うため、助成額の計算と、実際に使える量の見積もりでは、別の数字を見ることになります。見積書に書かれた容量がどちらの数字なのかを、業者に確かめておきましょう。

容量と助成額をまとめて確かめる

同じ容量の表示でも、助成の計算に使う数字と実際に使える量は違います。型番ごとの容量と助成額を説明してくれる業者の見積もりを比べましょう。

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複数社の提案を比べたうえで判断できます。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

容量を決める前に確かめること

ここまでの数字は、地域や統計の平均から計算した目安です。自宅に合う容量を決めるときは、次の点を確かめてください。

検針票で季節ごとの使用量を見る

12か月分の検針票やウェブの明細で、夏と冬の使用量を確かめます。夜の時間帯の使用量が分かる料金プランなら、その数字が容量の目安に最も近くなります。

見積もりは複数の容量で取る

1つの容量だけで見積もりを取ると、価格と効果を比べられません。12kWhを境に都の助成の上限が変わるため、上限の前後の容量で見積もりを取ると判断しやすくなります。

大きすぎる提案と訪問販売に注意する

国民生活センターは2021年に、家庭用蓄電池の勧誘をめぐる相談が増えているとして注意を呼びかけました。「容量が大きいほど得」と言われても、その場で契約せず、使用量と発電量に照らして必要な容量かを確かめてから決めましょう。

後から容量を足す方法もある

東京都の助成には、今ある蓄電池に蓄電池ユニットを足す増設の区分もあり、1kWhあたり6万円、DR実証に参加しない場合の上限は1戸72万円です。増設は要件を満たす太陽光が既にあることが条件で、増設後の構成がSIIの登録機器であることも求められます。増設できるかどうかは機種で決まるため、最初に選ぶ機種が増設に対応しているかも確かめておくと安心です。

大きな容量は設置場所も確かめる

容量が大きい機種ほど本体が大きく重くなり、置き場所が限られます。公社のよくある質問では、20kWhを超える容量について消防法を確かめるよう案内しています。屋外か屋内か、搬入の経路も含めて、現地を見たうえで提案してもらいましょう。

よくある質問

4人家族なら何kWhがよいですか

関東甲信の4人以上の戸建てが電力会社から買う電気は、1日約17.3kWhです。ただし夜に使う量はその一部で、太陽光の発電量によっても変わります。検針票の時間帯別の使用量と、太陽光の余る量を見比べて決めてください。

東京都の助成を最大限受けるには何kWhが必要ですか

DR実証に参加しない場合は、SIIに登録された蓄電容量が12kWhで上限の120万円に達します。ただし税抜の対象経費が120万円より少なければ、対象経費が上限になります。

カタログの容量で助成額を計算してよいですか

公社は、助成の計算に使うのはカタログの数値ではなく、SIIに登録されている蓄電容量だとしています。型番ごとの登録内容を業者に確かめてもらいましょう。

停電対策なら大きいほどよいですか

停電時に家全体の回路を使いたいなら大きな容量が向いていますが、冷蔵庫と照明だけなら小さな容量でも足ります。停電時に使いたい家電を先に決めてから、容量を選んでください。

まとめ

蓄電池の容量は、夜に使う電気の量と停電時に使いたい電気の量で決まります。関東甲信の戸建ては1日平均約13kWhの電気を買っていて、冬には初夏の約2倍まで増えていました。太陽光の発電の6割以上は売電に回っているため、余る電気の量も容量の目安になります。

東京都の助成は1kWhあたり10万円で、DR実証に参加しない場合は12kWhで上限の120万円に達します。助成の計算はSIIに登録された蓄電容量で行い、家で使える量は初期実効容量で見るという違いも押さえておきましょう。

容量の違う見積もりを比べる

容量を決めるには、複数の容量で見積もりを取り、価格と助成額、使える電気の量を比べるのが近道です。説明の丁寧な業者を選びましょう。

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