太陽光発電

北向きの屋根で太陽光を断られたら|反射光の対策と東京都の防眩パネルの上乗せ

北向きの屋根で太陽光を断られたら|防眩パネルに東京都の上乗せ

太陽光を付けたいと業者に相談したら、「北向きの屋根なので難しい」と言われた人もいるでしょう。南向きの屋根がない家では、そこで話が止まってしまいがちです。

この記事では、東京都環境局の「太陽光パネル設置に関するQ&A」、環境省の「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」、都の機能性PVの基準をもとに、北向きの屋根で断られる理由と対策を整理しました。東京都の太陽光の助成の要件には屋根の向きの決まりがなく、北向きの屋根でも条件を満たせば対象になります。

東京蓄電池補助金ガイド 編集部 経済産業省・環境省・東京都環境局・クール・ネット東京および各区市町村が公表する一次情報をもとに、住宅用の太陽光発電と蓄電池の補助制度を調査・執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

北向きの屋根で断られやすい2つの理由

北向きの屋根が敬遠される理由は、大きく分けて発電量と反射光の2つです。都の資料にも、この2点に触れた記述があります。

北向きの屋根で断られやすい2つの理由。発電量は方位・傾斜・日射量で変わる。北面に付けると近くの建物に反射光が差すことがある。都の新築向けの制度では北面は設置基準の計算から除く

発電量は屋根の向きで変わる

都の太陽光の解説資料では、地域や太陽光パネルの方位、傾斜角度、日射量などによって発電量は変わると説明しています。同じ容量のパネルでも、載せる屋根の向きによって1年間の発電量は同じになりません。

発電量が少ないと、初期費用を回収するまでの年数が長くなります。見積もりでは、北面に載せた場合の発電量の見込みも出してもらいましょう。

発電量の目安は真南30度の計算例

都の解説資料にある計算例では、太陽光パネルを水平から30度傾けて真南に向けた場合の発電量が、全国平均で1kWあたり年間約1,200kWhです。そのうえで、地域や方位、傾斜角度、日射量によって発電量は変わるとしています。

都のQ&Aでは、令和7年10月時点の試算として、4kWの太陽光の初期費用117万円を13.8年程度、現行の補助金を使えば8.4年程度で回収できるとしています。こうした試算は日当たりのよい条件を前提にしているため、北面に載せる場合は自宅の条件で計算し直してもらうことが欠かせません。

近くの建物に反射光が差すことがある

都のQ&Aでは、屋根の北面に設置した場合など方角によっては、近くの建物に一時的に太陽光パネルの反射光が差す可能性があるとしています。住宅が密集した東京では、とくに配慮が必要な点です。

都の制度でも北面は計算から除かれている

東京都が大手の住宅供給事業者に新築住宅への太陽光の設置を求める制度では、屋根の北面は設置基準の算定から除外できるとしています。北面は、都がこの制度で設置を求める屋根に含まれていないということです。

屋根の向きと都の制度での扱い

都のQ&Aでは、水平な屋根(陸屋根)と、南を含む東から西向きまでの屋根を「南面等屋根」と呼んでいます。北向き以外の屋根は、すべてこの南面等屋根に含まれます。

屋根の向きと都の制度での扱い。南向き、東向き・西向き、水平の陸屋根は南面等屋根。北向きは設置基準の計算から除く。都の太陽光の助成の要件には屋根の向きの決まりはない

東向き・西向きの屋根は候補になる

北向きの屋根しかないと思っていても、切妻屋根の家なら反対側は南向きです。寄棟や片流れの屋根でも、東向きや西向きの面があれば、都の制度では南面等屋根として扱われます。まずは北面以外の面に載せられないかを確かめましょう。

助成の要件に向きの決まりはない

都の「家庭における太陽光発電導入促進事業」の実施要綱が定める要件は、未使用品であること、都内の住宅に新しく設置すること、モジュールの認証、居住部分での使用、50kW未満であることです。屋根の向きは要件に入っていないため、北面に付けても助成の対象から外れるわけではありません。

北向きの屋根でも相談できる業者を探す

北向きの屋根では、反射光への配慮やパネルの選び方で業者の提案が分かれます。北面も含めて屋根全体を見て提案してくれる業者を比べてみましょう。

  • 申込は東京都内の住宅が対象
  • 訪問営業はせず、申込後に電話で日程を決めて現地調査
  • 東京都や区の補助金の申請を代行・サポート
  • 施工保証10年、2年に一度の点検とパネル洗浄

無料で相談・見積もりを依頼する

訪問営業はせず、ウェブから申し込めます。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

反射光が心配なときの対策

環境省の「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」は、事業用の施設を主な対象にしていますが、建築物の屋根に設置する場合も反射光の検討に活用できるとしています。都の太陽光の助成では、このガイドラインに準拠することが交付の条件です。

反射光が心配なときの対策(環境省の例)。販売・施工店に反射光のシミュレーションを依頼する、パネルの向きを調整する、配置を調整する、防眩仕様のパネルを使う、住宅との境界にフェンスや植栽を設ける。ガイドラインに準拠することが都の助成の交付条件

反射光は計算で確かめられる

ガイドラインでは、反射光による影響が生じる可能性がある場合は、販売・施工店に反射光のシミュレーションを相談・依頼するよう勧めています。反射光は、場所の緯度経度とパネルの方位角、傾斜角が分かれば計算できるとされています。

シミュレーションでは、住宅の窓に反射光が差し込むかどうかを確かめ、影響が心配な場合は時期や時間を明らかにするという流れです。北面への設置を相談するときは、このシミュレーションをしてもらえるかを業者に聞いてみましょう。

反射光はまっすぐ進む

ガイドラインでは、太陽光の入射角と反射角は同じ角度になり、反射光は直進する性質があるというのがガイドラインの説明です。多くの時間帯では反射光は上空に向かいますが、周りの建物に一時的に差す場合があります。

たとえば、冬は南から低く入る太陽光が北側の高い方向に反射するため、設置場所の北側に高い建物があると、反射光が建物の中に差し込む可能性があるとしています。近くに2階建て以上の住宅やマンションが建っている場合は、とくに確かめておきたい点です。

対策は向き・配置・防眩パネル・目隠し

ガイドラインが対策の例として挙げているのは、パネルの向きの調整、配置の調整、反射を抑えた防眩仕様のパネルの採用、住宅との境界のフェンスや植栽の4つです。屋根の形が決まっている住宅では、防眩仕様のパネルが現実的な選択肢になります。

防眩型パネルには都の上乗せがある

東京都は、反射を抑えた防眩型のパネルを機能性PVとして認定しています。認定された製品を使えば、都の太陽光の助成に上乗せを受けられる仕組みです。

防眩型パネルの上乗せ額(1kWあたり)。防眩型のガラスレス製品は8万円、ガラス製品で小型の多角形・建材形は8万円、ガラス製品で建材一体型の屋根用は8万円、ガラス製品で小型の方形は5万円、ガラス製品は2万円。防眩型の条件は60度の反射率0.6%以下、またはセル上の光沢度7.0以下

防眩型の条件

都の基準では、表面の入射角と反射角が60度のときの反射率が0.6%以下か、太陽電池セル上の光沢度(60度)が7.0以下であることを防眩型の条件にしています。ガラス表面のコーティングで防眩性能を出す製品は、その加工が製品の保証期間と同等の耐久性を持つことも必要です。

上乗せは1kWあたり2万円から8万円

上乗せ額は、製品の区分によって違います。ガラス製品の防眩型は1kWあたり2万円ですが、ガラスを使わない製品や、小型・建材一体型と組み合わせた製品は5万円から8万円です。

都の留意事項では、防眩型パネルを設置することで周囲への光害リスクの発生を抑える効果が期待できるとしています。令和7年度の認定では、防眩型のガラス製品だけで158件の製品が認定されています。

北面と東面に分けて付けたときの計算例

北面だけに付けるのではなく、ほかの面と組み合わせることもできます。既存住宅の例で、助成額の計算を図にしました。

北面と東面に分けて付けたときの計算例。既存住宅で北面に防眩型ガラス製品2kW、東面に標準パネル2kWを付けた場合、基本の助成は合計4kWに12万円を掛けて48万円、防眩型の上乗せは北面2kWに2万円を掛けて4万円、合計52万円。向きの違う屋根をつなぐ場合は出力最適化の上乗せもある

上乗せは認定パネルの出力分だけ

機能性PVの上乗せは、認定を受けたパネルの出力にだけ付きます。図の例では、北面の防眩型パネル2kW分が上乗せの対象です。基本の助成は合計4kWで計算し、既存住宅で3.75kWを超えるため1kWあたり12万円になります。

向きの違う屋根をつなぐなら出力最適化も

北面と東面のように向きの違う屋根にパネルを分けると、面ごとに日の当たり方が変わります。都の留意事項では、向きの違う屋根でパネルの回路を組む場合に、PV出力最適化の機器を使うよう案内しています。認定製品なら、1kWあたり1万円の上乗せの対象です。

防眩型パネルも提案できる業者を探す

北向きの屋根では、防眩型パネルや出力最適化の機器を使うかどうかで提案が変わります。機能性PVの上乗せも踏まえて見積もりを比べましょう。

  • 申込は東京都内の住宅が対象
  • 訪問営業はせず、申込後に電話で日程を決めて現地調査
  • 東京都や区の補助金の申請を代行・サポート
  • 施工保証10年、2年に一度の点検とパネル洗浄

無料で相談・見積もりを依頼する

複数社の提案を比べたうえで判断できます。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

見積もりで確かめたい4つのこと

北面を含めた提案を受けたら、次の4つを見積もりや説明で確かめておくと安心です。

  • 面ごとに載せるパネルの枚数と、面ごとの発電量の見込み
  • 反射光のシミュレーションをしたか、その結果
  • 防眩型や出力最適化の機器が都の認定製品か、型番と工法
  • 都の基本の助成と機能性PVの上乗せを分けた助成額の見込み

機能性PVの上乗せは、都の留意事項に沿って設置した場合に限って受けられます。工法が指定されている製品は、その工法で施工することが条件です。

自分の屋根の向きと日当たりを確かめる

業者に相談する前に、自分の家の屋根がどの程度太陽光に向いているかを知っておくと、提案を比べやすくなります。

東京ソーラー屋根台帳で確かめる

公社は、都内の建物がそれぞれどの程度太陽光発電や太陽熱利用の設置に適しているかを地図で確かめられる「東京ソーラー屋根台帳」を公開しています。2024年4月の更新で、20㎡未満の建物も表示されるようになりました。

太陽熱という選択肢も見てみる

東京ソーラー屋根台帳は、太陽光発電だけでなく太陽熱利用システムの設置に適しているかも示しています。公社のリーフレットでは、太陽熱利用システムの設置に費用の2分の1、1戸あたり55万円までの助成があると案内されています。屋根の条件によっては、太陽熱も比べてみるとよいでしょう。

新築なら契約前の説明で確かめる

大手の住宅供給事業者から新築住宅を買う場合や注文する場合は、契約の前に再エネなどの環境性能について説明を受けることになっています。北面しか載せられない間取りなら、その説明の場で東西の面の使い方や防眩型パネルについても聞いてみましょう。

北面以外も含めて複数社に見てもらう

1社に断られても、別の業者なら東西の面や防眩型パネルを使った提案をしてくれることがあります。断られた理由が発電量なのか反射光なのかを確かめ、その点に答えられる業者を探しましょう。

太陽光が難しいときは蓄電池だけでも

屋根の条件でどうしても太陽光が難しい場合でも、東京都の蓄電池の助成は使えます。太陽光がない家は、再エネ利用率が100%の電力メニューを契約すれば、蓄電池が1kWhあたり10万円の助成の対象です。そのメニューは、処分制限期間の6年間続ける必要があります。

屋根の条件に合う組み合わせを相談する

太陽光が載せにくい家でも、蓄電池や別の面の活用など選択肢はあります。都の助成の条件を踏まえて、家に合う組み合わせを提案してくれる業者に相談しましょう。

  • 申込は東京都内の住宅が対象
  • 訪問営業はせず、申込後に電話で日程を決めて現地調査
  • 東京都や区の補助金の申請を代行・サポート
  • 施工保証10年、2年に一度の点検とパネル洗浄

無料で相談・見積もりを依頼する

相談と見積もりは無料です。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

よくある質問

北向きの屋根に付けると都の助成は受けられませんか

受けられます。都の太陽光の助成の要件には、屋根の向きの決まりはありません。ただし、環境配慮ガイドラインへの準拠などの交付条件は守る必要があります。

反射光で隣の家から苦情が来ないか心配です

反射光は、場所とパネルの向き、傾斜角から計算できます。設置の前に業者にシミュレーションを依頼し、心配があれば防眩型パネルや配置の工夫を検討しましょう。

東向きと西向きの屋根だけでも付けられますか

付けられます。都の制度では、東向きや西向きの屋根も南面等屋根として扱われます。向きの違う屋根をつなぐ場合は、出力最適化の機器を使うかどうかも業者と相談しましょう。

北面の太陽光でも蓄電池の助成の条件を満たしますか

蓄電池の助成で求められる太陽光の条件は、モジュールの認証、居住部分での使用、50kW未満の3つで、屋根の向きは含まれていません。北面の太陽光でも、この3つを満たせば条件に合います。

防眩型パネルの認定製品はどこで確かめられますか

公社の「優れた機能性を有する太陽光発電システムの認定」のページで、区分ごとの認定製品の一覧が公開されています。上乗せを受けるには、都の留意事項に沿って設置することも必要です。

断られたあとに別の業者で付けた場合も助成は同じですか

同じです。都の助成額は、設置する機器と住宅の条件で決まります。ただし、どの業者に頼む場合も、工事の契約の前に事前申込をする順番は守らなければなりません。公社は、不適切な対応があった手続代行者への措置を公表しているので、契約の前に依頼先が対象になっていないかも確かめておきましょう。

まとめ

北向きの屋根で断られやすいのは、発電量が下がりやすいことと、近くの建物に反射光が差すことがあるためです。ただし、都の太陽光の助成の要件には屋根の向きの決まりがなく、北面でも対象になります。

反射光は計算で確かめられ、防眩型パネルを使えば1kWあたり2万円から8万円の上乗せも受けられます。東西の面との組み合わせや出力最適化の機器も含めて、屋根全体を見て提案してくれる業者に相談しましょう。