太陽光発電

東京都の太陽光義務化の対象は誰?施主ではなく大手ハウスメーカー、既存住宅は対象外

東京都の太陽光の義務化の対象は施主ではなく、年間2万平方メートル以上の新築を供給する事業者。すでに建っている家は対象外

「東京都で太陽光が義務になった」と聞いて、自分の家にも付けなければならないのかと不安になった人もいるでしょう。これから家を建てる人も、すでに住んでいる人も、誰に何が求められているのかを正しく知っておくことが大切です。

この記事では、東京都環境局の「太陽光パネル設置に関するQ&A」と「太陽光発電設置 解体新書」をもとに、義務化の対象と仕組みを整理しました。設置の義務を負うのは住宅を建てる施主ではなく、都内に一定以上の新築を供給する大手のハウスメーカーなどの事業者です。

東京蓄電池補助金ガイド 編集部 経済産業省・環境省・東京都環境局・クール・ネット東京および各区市町村が公表する一次情報をもとに、住宅用の太陽光発電と蓄電池の補助制度を調査・執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

太陽光の設置義務は誰にかかるのか

東京都は、延床面積2,000㎡未満の中小規模の新築建物を対象に、断熱・省エネ性能の確保や太陽光の設置などを求める制度を設けました。都のQ&Aは、令和7年4月1日の制度開始に合わせて内容を更新しています。

太陽光の設置義務の対象。義務を負うのは、都内に年間2万平方メートル以上の新築を供給するハウスメーカーなどの事業者で約50社の見込み、延床面積2,000平方メートル未満の新築建物が対象。注文住宅の施主や建売住宅の購入者、既存の住宅は対象外で、施主や購入者は事業者から説明を受ける立場

年間2万㎡以上を供給する約50社が対象

義務の対象は、都内での年間の供給延床面積が合計2万㎡以上のハウスメーカーなどの事業者です。都は大手の住宅メーカー約50社が対象になる見込みとし、都内の年間の新築棟数の半数程度の規模を想定しています。

年間5千㎡以上を供給する事業者は、希望すれば事前に申請し、都の承認を受けて制度に任意で参加できます。対象になる事業者は、建物の構造や設備の仕様を定める「規格」を決める者です。

ハウスメーカーもビルダーも規格を決める者

都のQ&Aでは、ハウスメーカーは自ら定めた構造や設備のリストをもとに、建築主に仕様を提案したり選ばせたりして建てるため、規格を定める者に当たると説明しています。自ら定めた仕様で建てて分譲するビルダーも同じ扱いです。建築主や分譲住宅を買う人は、こうした事業者から説明を受ける側になります。

新築だけが対象で既存住宅は対象外

都のQ&Aでは、制度の対象は新築のみで、既存の物件は対象外と明記されています。すでに建っている家に、この制度で太陽光の設置が義務づけられることはありません。

なぜ新築の住宅が対象なのか

都は、都内の二酸化炭素排出量の約7割が建物のエネルギー使用に起因していると説明しています。建物は長く使われるため、2050年時点では建物の約半数、住宅では約7割が今後新築される建物に置き換わる見込みとしています。

都内の住宅の屋根などへの太陽光の設置は限られており、大きな可能性が残っているというのが都の考え方です。国も2030年に新築戸建住宅の6割に太陽光を設置する目標を掲げており、都はこれと歩調を合わせるとしています。

延床面積2,000㎡以上の大規模な新築建物には、以前から建築物環境計画書制度がありました。一方で、着工棟数の多い2,000㎡未満の中小規模の建物には仕組みがなかったため、この部分の対策を強める必要があったと都は説明しています。

すべての新築に太陽光が載るわけではない

義務といっても、対象事業者が建てる家すべてに太陽光を載せる仕組みではありません。事業者が供給する建物全体で、決められた量を満たすことが求められています。

事業者ごとの設置基準の計算。設置可能棟数×算定基準率×1棟あたり2kWで、算定基準率は区域ごとに85パーセント、70パーセント、30パーセントの3段階。設置可能棟数500棟、算定基準率85パーセントなら850kW。載せられる家に多めに載せて全体で満たす、屋根が狭い家などは計算から除ける、自社が供給した既存住宅への設置は基準の2割まで使える

設置基準は事業者全体の合計で考える

設置基準は、設置可能棟数に算定基準率と1棟あたり2kWを掛けて求めます。算定基準率は、日照条件や日影規制の影響を考えて、区域ごとに85%・70%・30%の3段階が設定されています。

都の資料の例では、設置可能棟数が500棟で算定基準率が85%の場合、設置基準は850kWです。事業者は、どの家にどれだけ載せるかを、日照などの立地条件や住宅の形状を踏まえて判断します。

都の資料では、達成のしかたの例として2つの会社を挙げています。1社は100棟に4kW、250棟に2kWを載せ、残る150棟には載せずに合計900kWとする方法です。もう1社は200棟に5kWずつ載せ、残る300棟には載せずに合計1,000kWです。どちらも850kWの基準を上回ります。

太陽熱や既存住宅への設置も数えられる

太陽熱や地中熱を使う設備は、太陽光パネル2kWの設置と同等に評価されます。自社が過去に供給した都内の既存住宅に新しく太陽光を付けた場合は、設置基準の2割を上限に、達成に使うことができます。

これから建てる家の太陽光を相談する

新築でも既存でも、太陽光を載せるかどうかは屋根の条件と予算で変わります。都の助成も踏まえて提案してくれる業者を比べてみましょう。

  • 申込は東京都内の住宅が対象
  • 訪問営業はせず、申込後に電話で日程を決めて現地調査
  • 東京都や区の補助金の申請を代行・サポート
  • 施工保証10年、2年に一度の点検とパネル洗浄

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対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

施主や購入者に求められること

義務を負うのは事業者ですが、注文住宅の施主や建売住宅の購入者にも、この制度の中での役割があります。都のQ&Aでは、それぞれに求められる対応が説明されています。

施主や購入者に求められること。1 事業者が断熱・省エネ・再エネの環境性能を説明、2 都の参考様式などの書面で基準への適合状況を受け取る、3 契約の前にプランの検討や購入の判断材料にする。説明は契約を結ぶ前までに行うこととされている

契約の前に環境性能の説明を受ける

対象の事業者は、注文住宅の施主や建売住宅の購入者に、断熱・省エネや太陽光などの環境性能について説明することが求められています。説明は、都が定める参考様式などの書面を交付し、都の基準への適合状況を伝える形で、契約を行う前までに行われます。

施主や購入者は、その説明を聞いてプランの検討や購入の判断材料にする立場です。太陽光を付けるかどうかも含めて、説明の内容を比べながら判断できます。

賃貸住宅のオーナーや入居者も同じ立場

都のQ&Aでは、注文住宅の施主と同じ立場に賃貸住宅のオーナーを、建売住宅の購入者と同じ立場に賃貸住宅の入居者を含めています。賃貸住宅でも、事業者からの説明をもとに環境性能を理解して判断する仕組みです。

費用の負担をどう考えるか

都のQ&Aの試算では、4kWの太陽光を付けた場合、初期費用117万円を13.8年程度で回収でき、都の補助を使うと8.4年程度になるとしています。リースなどを使って初期費用をゼロにする方法もあると紹介しています。

試算の項目 補助なし 補助あり(1kWあたり10万円)
初期費用 117万円 77万円
回収までの期間 13.8年程度 8.4年程度
30年間の差額 87万円程度 127万円程度

この試算は令和7年10月時点のもので、東京都区部の2人以上の世帯を想定した数字です。都は、断熱・省エネ性能に優れた住宅に4kWを載せると、30年間のトータル収支で一層の経済的なメリットが見込まれるとも説明しています。売電単価や電気料金などの条件で結果は変わるため、目安として受け止めましょう。

計算から除ける屋根の目安

屋根が小さい家や日当たりの悪い家まで、一律に太陽光を求める制度ではありません。都は、設置基準の計算から除ける住宅の目安を示しています。

設置基準の計算から除ける屋根の目安。最も大きい屋根の水平投影面積が20平方メートル未満、2面以上あるとき2番目に大きい屋根が10平方メートル未満、北向きの屋根は面積の計算に入れない、60度以上の急な屋根と居室から続くルーフバルコニーは対象外。2階建ては2階の屋根、3階建て以上は3階以上の屋根で数える。設置できるかどうかを一律に示す基準ではない

狭い屋根は計算から除ける

南を含む東から西向きの屋根と水平な屋根のうち、最も大きい屋根の水平投影面積が20㎡未満の住宅などは、計算から除けるとされています。1つの屋根に最低限の枚数を載せるには、10㎡以上の設置場所が必要という考え方です。

除外した場合でも、断熱・省エネ性能の確保や電気自動車などの充電設備の整備は対象になります。

2階建ては2階の屋根で数える

対象にする屋根の数え方も決まっています。2階建ての建物は2階の屋根が対象で、1階の屋根は含めません。3階建て以上の建物は3階以上の屋根が対象です。60度以上の急な屋根や、居室から続くルーフバルコニーも対象外とされています。

設置できるかの基準ではない

都は、これらはあくまで設置基準の計算から除けるルールで、太陽光を設置できるかどうかを一律に示すものではないと注意しています。それぞれの建物で、敷地や隣地の状況から判断する必要があります。

新築と既存で違う東京都の助成

義務化の制度とは別に、東京都は住宅に太陽光を付ける人への助成を行っています。新築か既存かで単価が違い、既存住宅のほうが高く設定されています。

東京都の太陽光の助成は新築と既存で単価が違う。新築住宅は3.6kW以下で1kWあたり12万円、上限36万円、3.6kW超で1kWあたり10万円。既存住宅は3.75kW以下で1kWあたり15万円、上限45万円、3.75kW超で1kWあたり12万円。義務の対象外の既存住宅でも助成は受けられる

新築住宅の単価

住宅の建築と同時に付ける新築住宅は、3.6kW以下なら1kWあたり12万円で1棟あたり36万円が上限、3.6kWを超えると1kWあたり10万円です。どちらも太陽光発電システムの経費が上限になります。

既存住宅の単価

建てた後の住宅に付ける場合は、3.75kW以下なら1kWあたり15万円で1棟あたり45万円が上限、3.75kWを超えると1kWあたり12万円です。義務の対象外である既存住宅でも、自分の判断で付ければ都の助成を受けられます。

既存住宅の陸屋根に載せる場合は、架台と防水工事の経費が1kWあたり最大28万円の上乗せの対象です。小型や軽量など、都が認定した機能性の高いパネルを使うと、区分に応じて1kWあたり最大10万円の上乗せも受けられます。

初期費用ゼロのサービスへの助成

都は、初期費用なしで太陽光を付けられるリースなどのサービスへの助成も行っています。サービスの利用料が下がるなどの形で、補助金に相当する額が施主や購入者に還元される仕組みです。

都のQ&Aでは、事業者の費用で設置して所有権が事業者に残るリースや電力販売、屋根貸しのほか、所有権が建築主にある売電権の譲渡モデルなどが手法の例として紹介されています。

助成を受けるときの手続き

都の助成は、新築・既存ともに工事の契約を結ぶ前の事前申込が必要です。事前申込の受付日より前に契約を結ぶと、助成の対象外になります。事前申込は電灯契約ごとに行い、連名では申請できません。

新築の場合、住宅の建築と同時に付けると新築単価になります。ハウスメーカーの提案に太陽光が含まれているときは、助成の事前申込を誰がいつ行うのかを、契約の前に確かめておきましょう。

助成を受けた太陽光は、設置日から17年間を適切に管理する義務があります。この期間に売却や廃棄などの処分をするときは、事前に公社の承認が必要です。

既存の家に太陽光を付けるか相談する

既存住宅は都の助成の単価が高く設定されています。屋根の状態や電気の使い方に合わせて、載せる容量を提案してくれる業者に相談しましょう。

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  • 施工保証10年、2年に一度の点検とパネル洗浄

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複数社の提案を比べたうえで判断できます。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

蓄電池と組み合わせる

太陽光を付けるなら、蓄電池も一緒に考えると都の助成を2つ使えます。東京都の蓄電池の助成は、蓄電容量1kWhあたり10万円で、デマンドレスポンス(DR)実証に参加しない場合は1戸あたり120万円が上限です。

蓄電池の助成も契約の前の事前申込が必要で、太陽光とは別に申し込みます。令和8年10月1日以降の事前申込では、国の事業で令和8年度の登録済製品一覧に載った機器だけが対象になります。昼に発電した電気をためて夜に使えるよう、太陽光と蓄電池の容量を合わせて考えておくと無駄がありません。

太陽光と蓄電池をまとめて相談する

新築でも既存でも、太陽光と蓄電池を一緒に付けると都の助成を2つ使えます。容量の組み合わせを提案してくれる業者に相談しましょう。

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相談と見積もりは無料です。

対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。

よくある質問

今住んでいる家にも太陽光を付けなければいけませんか

付ける義務はありません。制度の対象は新築のみで、既存の物件は対象外です。付けたい場合は、既存住宅の単価で都の助成を受けられます。

注文住宅を建てるとき、太陽光を断れますか

義務を負うのは事業者で、施主は事業者からの説明を聞いて、住宅の注文を判断する立場とされています。事業者は供給する建物全体で基準を満たす仕組みのため、すべての家に一律で載せることが求められているわけではありません。

建売住宅は太陽光の分だけ高くなりますか

都のQ&Aでは、リースなどの第三者が所有するサービスを使えば、住宅の建設費に影響を与えずにパネルを設置できると説明しています。購入の前に、太陽光の費用が価格にどう含まれているのかを事業者に確かめておくと安心です。

中小の工務店で建てる場合も対象ですか

年間の供給延床面積が2万㎡未満の事業者は、義務の対象ではありません。ただし年間5千㎡以上の事業者は、希望すれば都の承認を受けて任意で参加できます。

太陽光の代わりに太陽熱でもよいのですか

太陽熱や地中熱も制度の対象で、太陽光パネル2kWの設置と同等に評価されます。エアコンや電気のヒートポンプ給湯機などは、再生可能エネルギーではなく設備の省エネ性能として扱われます。

発電した電気が売れなくなることはありますか

都のQ&Aでは、東京電力管内のルールで、住宅用の10kW未満の太陽光は当面の間、出力制御の対象外とされていると説明しています。

マンションも対象ですか

この制度は延床面積2,000㎡未満の中小規模の新築建物が対象です。延床面積2,000㎡以上の大規模な新築建物には、別の建築物環境計画書制度があります。

まとめ

東京都の太陽光の設置義務は、都内に年間2万㎡以上の新築を供給する大手のハウスメーカーなどにかかり、施主や購入者、既存の住宅は対象外です。事業者は供給する建物全体で設置基準を満たせばよく、屋根が狭い家などは計算から除けます。

施主や購入者は、契約の前に事業者から環境性能の説明を受けて判断する立場です。既存の家でも、自分の判断で太陽光を付ければ都の助成を受けられるため、契約の前に事前申込を済ませて進めましょう。