屋上が平らな陸屋根(りくやね)の家に太陽光を付けるとき、斜めの屋根より工事が増えます。パネルに角度を付ける架台や、屋上の防水の手当てが要るため、見積もりが高くなりやすいのが悩みどころです。
この記事では、東京都の「家庭における太陽光発電導入促進事業」の実施要綱と、クール・ネット東京(東京都環境公社)の申請の手引きをもとに、陸屋根で使える助成を整理しました。東京都は陸屋根に太陽光を載せる場合、通常の助成とは別に、架台と防水工事の経費へ上乗せを用意しています。
東京都と区市町村の太陽光発電・蓄電池の補助金を、公的機関の一次情報から整理。情報基準日を明記しています。

屋上が平らな陸屋根(りくやね)の家に太陽光を付けるとき、斜めの屋根より工事が増えます。パネルに角度を付ける架台や、屋上の防水の手当てが要るため、見積もりが高くなりやすいのが悩みどころです。
この記事では、東京都の「家庭における太陽光発電導入促進事業」の実施要綱と、クール・ネット東京(東京都環境公社)の申請の手引きをもとに、陸屋根で使える助成を整理しました。東京都は陸屋根に太陽光を載せる場合、通常の助成とは別に、架台と防水工事の経費へ上乗せを用意しています。
東京都の太陽光の助成は、住宅に太陽光発電システムを設置する人が対象です。陸屋根に載せる場合は、基本の助成に加えて2つの上乗せを受けられることがあります。

住宅を建てた後に付ける既存住宅の場合、発電出力が3.75kW以下なら1kWあたり15万円で、1棟あたり45万円が上限です。3.75kWを超えると1kWあたり12万円になります。どちらも太陽光発電システムの経費が上限です。
住宅の建築と同時に付ける新築住宅は、3.6kW以下で1kWあたり12万円(上限36万円)、3.6kWを超えると1kWあたり10万円です。基本の助成は屋根の形に関係なく同じ計算になります。
陸屋根ならではの助成が、架台の設置経費と、架台の設置に伴う防水工事経費の上乗せです。既存の戸建て住宅では、架台が1kWあたり10万円、防水工事が1kWあたり18万円とされています。
上乗せ2つを合わせると、既存の戸建てで1kWあたり最大28万円になります。基本の助成より大きな額で、陸屋根の工事が増えるぶんを補う仕組みといえるでしょう。
都の実施要綱では、陸屋根を「傾きのほとんどない、平面状の屋根」と定めています。鉄筋コンクリート造の住宅や、屋上を使う3階建ての住宅に多い形です。
陸屋根の上乗せは、どの住宅でも受けられるわけではありません。新築か既存か、戸建てか集合住宅かの組み合わせで、対象になる経費が変わります。

既存の戸建てと既存の集合住宅は、架台と防水工事の両方が上乗せの対象です。集合住宅は架台の単価が1kWあたり20万円と、戸建ての2倍に設定されています。
防水工事の上乗せは、住宅を建てた後の陸屋根に架台を設置し、防水工事をする場合に限られます。防水工事だけを行っても、この上乗せは受けられません。
新築の戸建て住宅は、陸屋根でも架台と防水工事の上乗せがありません。この場合、架台の設置費用は太陽光発電システムの工事費に含めて、基本の助成の中で計算されます。
新築の集合住宅は、架台の上乗せ(1kWあたり20万円)だけが対象です。新築の戸建てを陸屋根で建てる予定の人は、上乗せを見込んだ資金計画にしないよう注意が必要です。
公社の手引きでは、敷地内の別の建物や土地に設置した場合は、太陽光の電気を使う住宅の区分で判定すると説明しています。たとえば住宅が新築の戸建てに当たると、敷地内の陸屋根の建物に載せても上乗せはありません。
陸屋根に載せられるか相談する
陸屋根は架台と防水の工事が必要です。屋上の状態を見て、都の上乗せも踏まえた見積もりを出してくれる業者を比べてみましょう。
訪問営業はせず、ウェブから申し込めます。
対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。
陸屋根の上乗せは、発電出力に単価を掛けた額と、実際にかかった経費を比べて決まります。ここでは既存の戸建てを例に、計算の流れを確かめます。

架台の上乗せは「発電出力×単価」が額の上限で、架台の材料費と工事費の合計がそれより少なければ、経費の額までしか出ません。防水工事も同じで、防水工事の材料費と工事費が上限になります。
4.0kWの例では、架台の経費30万円が「4.0kW×10万円=40万円」を下回るため、架台の助成は30万円です。反対に架台に50万円かかった場合は、40万円で止まります。経費はすべて税抜で計算する点にも気を付けましょう。
既存の戸建てで、経費が上限を超えた場合の最大額を出力別にまとめました。実際の助成額は、それぞれの経費と比べた小さいほうになります。
| 発電出力 | 基本の助成 | 架台の上乗せ | 防水の上乗せ | 合計の上限 |
|---|---|---|---|---|
| 3.0kW | 45万円 | 30万円 | 54万円 | 129万円 |
| 3.75kW | 45万円 | 37.5万円 | 67.5万円 | 150万円 |
| 5.0kW | 60万円 | 50万円 | 90万円 | 200万円 |
| 6.0kW | 72万円 | 60万円 | 108万円 | 240万円 |
発電出力は、パネルの公称最大出力の合計と、パワーコンディショナの定格出力の合計のうち、小さいほうです。小数点以下第3位を四捨五入した値で計算します。
助成額に千円未満の端数が出たときは、切り捨てになります。パネルを多めに載せても、パワーコンディショナの出力が小さければ、その出力で計算される点に注意してください。
架台と防水工事の上乗せも同じ発電出力に単価を掛けるため、パワーコンディショナの出力が上乗せの額にも響きます。見積もりでは、パネルとパワーコンディショナの出力を両方確かめておきましょう。
国や区など他の補助金を受ける場合、都の助成額と他の補助金の合計が経費を超えない範囲で交付されます。区の太陽光の助成と合わせて使うときは、合計が経費を超えていないかを見積もりの段階で確かめておくと安心です。
陸屋根の上乗せは、交付申請兼実績報告のときに「陸屋根上乗せ工事あり」を選んで申請します。選べるのは、手引きにある条件をすべて満たす場合だけです。

1つ目は、設置する建物の登記事項証明書(建物)が最新の情報で、構造の欄に「陸屋根」と書かれていることです。都の交付要綱でも、陸屋根の場合は建物の登記で陸屋根と確認できることを求めています。
見た目が平らな屋根でも、登記に陸屋根と書かれていなければ上乗せの対象になりません。契約の前に、登記事項証明書の構造の欄を確かめておきましょう。
2つ目は写真です。設置箇所が陸屋根の部分であること、架台の設置工事であること、架台のための防水工事であることが、写真から確かめられる必要があります。なお、防水の工法については問わないとの記載です。
写真はカラーで日中に撮ったものとされ、架台は工事の前後か、パネルの下に架台があるとわかるもの、防水工事は施工の前後などがわかるものが求められます。工事が終わってからでは撮り直せないため、工事の前に業者と撮影の段取りを決めておくことが大切です。
3つ目は経費の内訳です。太陽光発電システムの機器費と工事費、架台の設置工事費、防水工事費を、それぞれ金額がわかるように分けて書いた内訳が必須とされています。見積書や契約書の段階から、3つを分けてもらうと手続きが進めやすくなります。
申請の流れは、通常の太陽光の助成と同じです。陸屋根の場合は、登記の確認と工事中の撮影が加わります。

都の助成は、工事の契約を結ぶ前に事前申込をする仕組みです。事前申込の受付日より前に契約を結ぶと対象外になります。
事前申込は電灯契約ごとに行い、連名で申請することはできません。二世帯住宅などで電灯契約が複数あるときは、それぞれ事前申込が必要です。
事前申込に添付する見積書の形式は任意とされています。交付申請では架台と防水の金額を分けた内訳が求められるので、最初の見積もりから分けてもらうと二度手間を防げます。
工事が終わったら、事前申込の受付日から1年以内に交付申請兼実績報告を出します。期限までに出さないと事前申込は廃止され、延長はできません。
陸屋根の上乗せを受ける場合は、このときに登記事項証明書、架台と防水工事の写真、経費の内訳をそろえて提出します。既存住宅の場合は、足場代も太陽光の工事費に含められます。
助成を受けた太陽光発電システムは、設置日から17年間を適切に管理する義務があります。この期間に売却や廃棄などの処分をするときは、事前に公社の承認を受けなければなりません。
期間中に申請者の情報が変わったときも、あらかじめ公社への申請が必要です。手引きでは、手続代行者が助成金の受け取り後の手続きを行わない場合、申請者へ引き継ぐよう求めています。
陸屋根の工事に慣れた業者を探す
陸屋根は架台の固定と防水の施工で仕上がりが変わります。都の上乗せに必要な写真や内訳にも対応してくれる業者に相談しましょう。
複数社の提案を比べたうえで判断できます。
対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。
陸屋根は屋上の防水層の上に架台を置くため、施工の仕方によっては雨漏りの心配が出てきます。助成の条件だけでなく、工事の中身と保証も確かめておきたいところです。
都のQ&Aでは、太陽光パネルを屋根から取り外すときにも、雨漏りを防ぐために防水の処理が必要になる場合があると説明しています。設置のときだけでなく、将来の撤去や交換のときの防水についても、業者に考え方を聞いておきましょう。
新築住宅の場合は、住宅を供給する事業者が品確法により、雨水の浸入を防ぐ部分の欠陥について10年間の責任を負うと、都のQ&Aで案内されています。
既存住宅に太陽光を付ける工事で、リフォーム瑕疵保険に新しく加入する場合は、1契約あたり7,000円の上乗せがあります。保険に加入するのは、申請者と工事請負契約を結んだ事業者です。
リフォーム瑕疵保険は、工事に欠陥が見つかったときの補修費用を保険で賄う仕組みです。陸屋根の防水を伴う工事では、業者が加入できるかを契約前に聞いてみるとよいでしょう。
公社は、実際より高い金額の契約書で申請した手続代行者への措置を公表しています。「後日返金する」「実質負担なし」といった営業は、不正な申請につながるおそれがあるため注意してください。措置の対象になった事業者は、公社のページで確かめられます。
陸屋根に太陽光を付けるなら、蓄電池も同時に考える人が多いでしょう。東京都の蓄電池の助成は、蓄電容量1kWhあたり10万円で、デマンドレスポンス(DR)実証に参加しない場合は1戸あたり120万円が上限です。
蓄電池ユニットの増設は1kWhあたり6万円で、DR実証に参加しない場合の上限は1戸あたり72万円になります。令和8年10月1日以降の事前申込では、国の事業でSIIの令和8年度の登録済製品一覧に載った機器だけが対象になるため、機種選びの段階で確かめておくと安心です。
蓄電池の助成も、太陽光と同じく契約の前の事前申込が必要です。太陽光と蓄電池は別々の事業なので、それぞれに事前申込をしてから契約しましょう。
太陽光と蓄電池をまとめて相談する
陸屋根の太陽光と蓄電池を一緒に付けると、都の助成を2つ使えます。屋上の条件と予算に合わせて組み合わせを提案してくれる業者に相談しましょう。
相談と見積もりは無料です。
対象は戸建て住宅です。マンション・区分住宅には対応していません。
ありません。新築の戸建ては、架台も防水工事も上乗せの対象外です。架台の費用は太陽光の工事費に含めて、基本の助成の中で計算されます。
登記事項証明書の構造に陸屋根の記載がないと、上乗せの対象になりません。登記の内容については、契約前に業者や公社に相談してください。
防水工事の上乗せは、太陽光の架台の設置に伴う防水工事が対象です。太陽光を付けずに防水工事だけを行う場合は対象になりません。
集合住宅は、架台が1kWあたり20万円、既存の建物なら防水工事が1kWあたり18万円の上乗せです。管理組合も申請できます。
額は発電出力に単価を掛けて決まり、架台は架台の材料費と工事費、防水工事は防水工事の材料費と工事費の合計が上限です。どちらも税抜の金額で比べます。
既存住宅では、足場代を太陽光の工事費に含められます。新築住宅の足場代は対象外です。
東京都の太陽光の助成は、陸屋根に載せると架台と防水工事の経費に上乗せがあり、既存の戸建てなら1kWあたり最大28万円になります。ただし新築の戸建ては対象外で、どの区分でも実際の経費が上限です。
上乗せを受けるには、登記の構造に陸屋根とあること、架台と防水工事の写真、経費の内訳の3つが欠かせません。契約の前に事前申込を済ませ、工事中の撮影まで対応してくれる業者を選びましょう。